Beginning
- 始まり -
施工のご依頼をいただき、あるマンションを建てていました。
1階から4階まで、理想的な品質で施工は進み、完成が近付きつつあるなかで、
あるクライアントが「この内装、ちょっとおかしいところがあるからやり直してくれない?」と提言したのです。
問題は内装の一部分だけでしたが、私たちは図面指示通りであり現場監督として不具合を感じていませんでした。
やり直しとなれば、これまでつくった部分をすべて修正しなくてはいけません。
職人からしたら一度作ったモノを壊すなんて、悲しいことはない。
私の目が何かを語っていたのかもしれません、すると「お金なら出すからさ」と言われました。
そのとき、私は「お金の問題ではない」と感じたのです。
実際に住むお客様から相談されるならまだしも、
暮らしに関係がない人間に言われたことにショックを受けました。